短文読解問題(50〜100字程度)
本教材は、失語症や高次脳機能障害などにより、文章理解に困難のある方を対象とした読解練習プリントです。
50〜100字程度の短い文章を読み、文章の内容に関する設問に答える形式になっています。短文読解よりも少し長い文章を読むことで、文章全体の流れや複数の情報を整理しながら理解する練習ができます。
文章は、通院・買い物・料理・散歩・家族との会話など、日常生活に身近なテーマを中心に作成しています。実際の生活場面をイメージしながら取り組みやすい内容です。
全10ページ、1ページ2問、合計20問を収録しています。各問題には4つの設問があり、文章の内容に合わせてさまざまな角度から読み取る力を練習できます。
設問の7つのパターン
本教材では、次の7種類の設問を組み合わせています。
① 時系列
出来事が起こった順番や、行動の流れを読み取る問題です。
② 理由
「なぜそうしたのか」「どうしてその結果になったのか」など、出来事の理由や原因を読み取る問題です。
③ 比較
2つのものや人物、場所などの違いや特徴を比べる問題です。
④ 数・量
数字、金額、時間、個数など、文章の中にある具体的な情報を読み取る問題です。
⑤ 予定
これから行うことや、今後の予定を読み取る問題です。
⑥ 指示理解
注意書きや案内、説明などを読み、何をすべきか、何をしてはいけないかを理解する問題です。
⑦ 人物関係
登場人物同士の関係や、それぞれの特徴、発言や行動を読み取る問題です。
この教材で期待できること
本教材では、短い文章を最後まで読み、複数の情報を整理しながら内容を理解する練習ができます。
文章が長くなると、「最初に書かれていた内容を忘れてしまう」「文章の途中で内容が分からなくなる」「必要な情報を見つけにくい」といったことがあります。
本教材では、文章の長さを50〜100字程度に設定し、文章全体の流れや複数の情報を読み取る練習ができるようにしています。
継続して取り組むことで、次のような力を育てることが期待できます。
- ある程度の長さの文章を最後まで読む力
- 文章全体の内容を理解する力
- 出来事の順番を整理する力
- 原因と結果を結びつける力
- 複数の情報を比較・整理する力
- 必要な情報を文章の中から探し出す力
- 日常生活で文章を読むことへの自信
ただし、効果や改善の程度には個人差があります。対象者の状態に合わせて、無理のない範囲で継続することが大切です。
使い方
1. 本文をゆっくり読む
本人が黙読する、声に出して読む、セラピストや支援者が読み上げるなど、その方の状態に合わせて取り組みます。
必要に応じて、指で文字を追いながら読む方法も活用できます。
文章を読むこと自体が負担になる場合は、支援者が読み上げた後に内容について答える方法でも構いません。
2. 設問に答える
①〜④の設問に、口頭または筆記で答えます。
書字が難しい場合は、本文中の答えを指差してもらったり、選択肢から選んでもらったりする方法もあります。
必要に応じて、設問を一つずつ提示してください。
3. 本文に戻って確認する
答えが分からないときは、すぐに正解を伝えるのではなく、本文に戻って一緒に確認します。
「答えは本文のどこに書いてありますか?」
「もう一度読んで探してみましょう」
などの声かけを行い、必要な情報を文章の中から探す過程を大切にしてください。
難易度調整のポイント
対象者の状態に合わせて、取り組み方を調整できます。
難しそうな場合
- 設問を1問ずつ提示する
- 本文を一文ずつ区切って読む
- 支援者が本文を読み上げる
- 答えに該当する部分に下線を引く
- 選択肢を用意する
- 「はい・いいえ」で答えられる形に言い換える
- 本文の内容を簡単な図や表に整理する
余裕がある場合
- 本文を見ずに答えてみる
- 自分で文章を音読してから取り組む
- 設問の答えを文章で答える
- 本文の内容を自分の言葉で説明する
- 文章の内容について、さらに質問する
注意点
- 答えが分からないときは本文に戻る
本教材では、本文を読み、そこから必要な情報を見つけることが大切です。
答えが分からない場合は、すぐに正解を教えるのではなく、「本文のどこかに書いてありますよ」と声をかけ、本文を一緒に確認してください。
- 正解・不正解だけで評価しない
正答率だけでなく、「どこでつまずいたのか」「どのような手がかりを使ったのか」を観察することも大切です。
文章を最後まで読めたことや、自分で答えを探そうとしたことも、取り組みの大切な成果です。
- 取り組む量は無理のない範囲で
1回に取り組むページ数は、本人の体調や集中力に合わせて調整してください。
1問から始めても構いません。疲労がみられる場合は、途中で終了しましょう。
- 繰り返し使用できる
全10ページの教材ですので、1回に1ページずつ取り組んだり、同じ問題を日を変えて繰り返し使用したりすることもできます。
時間を空けて再度取り組むことで、理解の変化を確認したり、本人の得意・不得意を把握したりすることにも役立ちます。
例題と解説
以下に、7つの設問パターンの例題と取り組み方を紹介します。
① 時系列パターン
- 本文
山田さんは朝起きてから顔を洗い、朝食を食べました。その後、バスに乗って病院へ行き、薬をもらって帰りました。
- 設問
① 山田さんが最初にしたことは何ですか。
② 朝食の後に何をしましたか。
③ 病院へはどうやって行きましたか。
④ 病院で何をもらいましたか。
- 答え
① 顔を洗った
② バスに乗った
③ バス
④ 薬
取り組みのポイント
文章の流れや出来事の順番を意識して読むことがポイントです。
「最初に」「その後」「帰りに」など、時間の流れを示す言葉に注目すると、出来事の順番を整理しやすくなります。
② 理由パターン
- 本文
鈴木さんは先月から毎朝散歩をするようにしました。医師から運動不足を指摘されたからです。散歩を始めてから体が軽くなりました。
- 設問
① 散歩を始めたのはいつからですか。
② 誰から運動不足を指摘されましたか。
③ 散歩を始めた理由は何ですか。
④ 散歩を始めてからどんな変化がありましたか。
- 答え
① 先月から
② 医師
③ 運動不足を指摘されたから
④ 体が軽くなった
取り組みのポイント
「なぜ〜したのですか?」という問いに対して、「〜だからです」という部分を探します。
「から」「ので」「ため」などの言葉が、理由を見つける手がかりになります。
③ 比較パターン
- 本文
佐藤さんの家の近くに二つの薬局があります。駅前の薬局は営業時間が長いですが混んでいます。裏通りの薬局は空いていますが、閉まるのが早いです。
- 設問
① 駅前の薬局の良いところは何ですか。
② 裏通りの薬局の良いところは何ですか。
③ 混んでいるのはどちらの薬局ですか。
④ 閉まるのが早いのはどちらですか。
- 答え
① 営業時間が長い
② 空いている
③ 駅前の薬局
④ 裏通りの薬局
取り組みのポイント
「〜は〜ですが、〜は〜です」という構造を意識します。
2つのものを表に整理したり、それぞれの特徴をメモしたりすると、比較しやすくなります。
④ 数・量パターン
- 本文
木村さんはスーパーでりんごを三個、みかんを五個買いました。りんごは一個百二十円、みかんは一個五十円でした。
- 設問
① りんごは何個買いましたか。
② みかんは一個いくらですか。
③ 買ったくだものは全部で何個ですか。
④ りんご三個の合計金額はいくらですか。
- 答え
① 三個
② 五十円
③ 八個
④ 三百六十円
取り組みのポイント
数字や数量に注目して読み進めます。
計算が必要な問題では、数字を書き出したり、計算式を一緒に確認したりすると取り組みやすくなります。
まずは文章の中から「数・金額・時間」を見つける練習から始めてもよいでしょう。
⑤ 予定パターン
- 本文
田中さんは明日の午前中に病院へ行く予定です。診察が終わったら、駅前のスーパーで買い物をしてから帰るつもりです。
- 設問
① 田中さんはいつ病院へ行く予定ですか。
② 明日はどこへ行く予定ですか。
③ 病院の後に何をする予定ですか。
④ 買い物の後はどうするつもりですか。
- 答え
① 明日の午前中
② 病院
③ 駅前のスーパーで買い物をする
④ 帰る
取り組みのポイント
「明日」「予定です」「〜したら」「〜してから」など、これから行うことを示す言葉に注目します。
「今したこと」と「これからすること」を区別しながら読むことがポイントです。
⑥ 指示理解パターン
- 本文
この薬は食後に一錠ずつ飲んでください。朝と夜の二回、必ず水で飲むようにしてください。お茶やジュースでは飲まないでください。
- 設問
① この薬は一日何回飲みますか。
② 薬はいつ飲みますか。
③ 何で飲むようにと書いてありますか。
④ お茶で飲んでもよいですか。
- 答え
① 二回
② 食後
③ 水
④ いいえ
取り組みのポイント
「してください」「〜しないでください」などの指示を表す言葉に注目します。
実際の生活に関わる文章では、何をすべきか、何をしてはいけないかを整理することが重要です。
⑦ 人物関係パターン
- 本文
高橋さんは娘の美香さんと一緒に買い物へ行きました。美香さんは母親の荷物を持ち、帰りに二人で喫茶店に寄りました。
- 設問
① 高橋さんと一緒に買い物へ行ったのは誰ですか。
② 美香さんは高橋さんの何ですか。
③ 美香さんは何を持ちましたか。
④ 二人は帰りにどこへ寄りましたか。
- 答え
① 美香さん
② 娘
③ 母親の荷物
④ 喫茶店
取り組みのポイント
「誰が」「誰の」「誰と」など、人物同士の関係を示す言葉に注目します。
登場人物が複数いる場合は、人物の名前と関係を整理しながら読むと理解しやすくなります。
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まとめ
本教材は、50〜100字程度の文章を読み、文章全体の内容を理解しながら、必要な情報を探す練習を行うための教材です。
時系列や理由、比較、数・量、予定、指示理解、人物関係など、さまざまな設問パターンを通して、文章を多角的に読み取る力を練習できます。
まずは1ページ、1問からでも無理なく始められます。ご本人の状態や目標に合わせて難易度を調整し、必要に応じて同じ問題を繰り返しながらご活用ください。
正解を目指すだけではなく、「文章を読む」「内容を理解する」「必要な情報を探す」という過程を大切にしながら取り組んでいただければ幸いです。


